卵を割らずに、中身や殻の状態をどうやって調べるのでしょうか。鶏卵の選別・包装装置を手がけるナベルは、音で殻のひびを調べ、光で中身の異常を見分ける技術を開発しています。

テレビ東京系『知られざるガリバー』では、2026年10月31日(土)18:00~18:30にナベルを取り上げる予定です。この記事では、普段手に取る卵のパックを支える検査と選別の仕組みを見ていきます。

ナベルがつなぐ、卵の検査から包装まで

調べることと、分けて詰めることは別の仕事

ナベルが手がけるのは、卵の状態を調べる検査装置と、重さなどに応じて選り分け、容器に詰める選別包装装置です。同じラインで働いていても、「異常を見つける」「サイズを分ける」「パックに収める」では役割が違います。

同社が日本弁理士会関西会のインタビューで説明する選別・包装の流れには、洗浄・乾燥、検査、計量、サイズ分け、包装などの工程があります。卵をきれいにする作業だけでなく、状態や重さを調べて送り先を分けるところまでが、一連の仕事なのです。

どの情報を使うのかで見ると分かりやすい

工程使う情報・動作主な役割
ひびの検査軽く叩いたときの音殻にひびがないか調べる
中身の検査卵を透過する光血卵などの異常を検出する
計量・選別一つひとつの重さサイズに応じて分ける
包装卵の搬送と容器への移し替えパックに収める

音で殻のひびを見つける「ひび卵検査装置」

小さなハンマーで叩き、反響音を解析する

ナベルのひび卵検査装置「ACD」の仕組みは、卵を小さなハンマーで軽く叩き、その音を数値として解析するものです。専用のハンマーを16個使い、殻の周囲を調べます。

ここで使われるのが「フーリエ変換」という解析です。音を周波数ごとの成分に分けることで、耳で聞く音を機械が比較できるデータに変え、ひびの判定に利用します。

人の気づきから機械の判定へ

同社のインタビューによると、開発のきっかけは、ひびを見つけるのが得意な現場の職員が、卵を弾いた音で確認していたことでした。目で見るだけではなく、音を手がかりにする発想が装置につながっています。

卵を割って確かめる代わりに、殻の反応を調べるのがこの検査のポイントです。ただし、検査装置があることを、すべてのひびを必ず見つけるという保証に置き換えることはできません。

光で中身を調べる「異常卵検査装置」

透過した光から卵の状態を読み取る

異常卵検査装置「ABD」の検出対象と仕様を見ると、高速で通過する卵に光を当て、透過した可視光のデータを調べる仕組みだと分かります。検出対象には、血卵、みだれ卵、無黄卵、腐敗卵などがあります。

音の検査が主に殻のひびを調べるのに対し、光の検査は中身の状態を調べます。音と光は同じことを二度調べるのではなく、それぞれ異なる情報を受け持っています。

殻や黄身の色の違いにも対応する

卵は殻や黄身の色が一様ではありません。ABDは、まとまりごとに卵の色が変わった場合も、検出レベルを自動で調整する機能を備えています。

検査した個数や異常の種類ごとの個数・割合を表示する点も特徴です。単に一つずつ判定するだけでなく、検査の状況を把握するための情報にもつながっています。

大量の卵を扱うための選別とパック詰め

重さを測ってから、容器へ送り分ける

検査と並んで欠かせないのが、卵の計量とサイズ分けです。外見だけでそろえるのではなく、一つひとつの重さを調べ、該当する包装先へ振り分けます。

その先では、卵を容器へ移し、パックを閉じる工程につなぎます。割れやすいものを扱うため、判定の速さだけでなく、運び方や移し替え方も装置の大切な役割です。

「毎時24万個」は、すべての装置に共通する数字ではない

処理能力は型式ごとに異なります。メーカーの仕様表では、ひび卵検査のACD180は最大毎時18万個、異常卵検査のABD006は最大毎時24万個です。

この二つを混ぜて、「ひびの検査も一律に毎時24万個」と説明するのは正確ではありません。また、最大処理能力は仕様上の数字であり、工場全体で常に同じ量を処理しているという意味でもありません。

まとめ

ナベルの技術は、音による殻の検査、光による中身の検査、計量・選別、包装という異なる仕事をつなぐものです。検査は卵の状態を判定する工程であり、殺菌や無菌の保証とは区別して理解する必要があります。

普段の卵のパックの向こうに、現場の気づきと機械の工夫が積み重なっていると思うと、身近なものづくりがぐっと面白く感じられます。製品情報を見る際は、「何を調べる装置なのか」と型式ごとの仕様をセットで確かめてみてください。