富士山の麓で育つ国産サーモン|陸上養殖と水を循環させる仕組み
富士山の麓で育つ「FUJI ATLANTIC SALMON(富士アトランティックサーモン)」は、海ではなく陸上の施設で養殖するサーモンです。飼育に使った水を処理して再利用し、魚が育つ環境を整えています。
日本テレビ系『満天☆青空レストラン』では、2026年10月31日(土)18:30から、静岡県のアトランティックサーモンを取り上げる予定です。おいしさに関心を持ったら、その魚がどのように育つのかも気になるところですね。
国産のアトランティックサーモンが育つ場所
魚種と生産地は別の情報
アトランティックサーモンは、大西洋北部を原産地とする魚です。ノルウェーなどの養殖産地でも知られていますが、魚種の名前だけで、どの国で育ったかが決まるわけではありません。
富士アトランティックサーモンは、プロキシマーシーフードが静岡県小山町の施設で育てています。「アトランティック」は魚種、「富士アトランティックサーモン」は商品ブランドと分けて考えると分かりやすくなります。
孵化・幼魚と育成の施設を備える
生産者の富士小山養殖場の設備説明では、孵化・幼魚場棟と育成棟を設けています。魚を大きくする水槽だけでなく、小さな段階から育てる設備もあるのです。
同社の生産説明では、アイスランドから受け取った卵を、この施設で孵化・育成します。「国産」という表示から、親魚や卵まで全て国内由来だと考えず、どこで育てた魚なのかを見ていくことが大切です。
陸上養殖のRASは、どんな仕組み?
水を使い捨てず、処理して戻す
RASは「Recirculating Aquaculture System」の略で、循環式の養殖システムを指します。使った水を処理し、再び飼育に利用するのが基本です。
陸上養殖は魚を水槽へ入れるだけでなく、水の状態を整え続ける仕事でもあります。餌を与えて魚が育つと、食べ残しや排せつ物などが生じるためです。
プロキシマーは、AquaMaof社の技術を使い、沈殿槽、重力を利用して水を散らす曝気、生物ろ過などを組み合わせています。それぞれに異なる役割があり、一つのフィルターで全てを済ませる仕組みではありません。
沈殿・生物ろ過・曝気の役割
| 工程 | 一般的な役割 |
|---|---|
| 沈殿 | 水中の沈みやすい固形物を分ける |
| 生物ろ過 | 微生物の働きを利用し、水に溶けた窒素成分を処理する |
| 曝気(ばっき) | 水と空気を接触させ、気体のやり取りを促す |
例えば、固形物を沈めて取り除くだけでは、水に溶けた成分までは取り除けません。一般的な循環式養殖では、微生物がアンモニアを硝酸へ変える硝化や、さらに窒素ガスへ変える脱窒が、水の再利用を支えます。
これは水処理の一般的な説明です。設備ごとの水の通る順番や管理条件は異なるため、そのまま富士小山養殖場の配管図を表すものではありません。
「99.7%循環」は、水の交換ゼロではない
丸紅の2024年10月25日の発表では、この事業は閉鎖循環式陸上養殖により、水の99.7%を循環させるとしています。生産者も、脱窒システムで交換水の必要量と廃水を抑える仕組みを説明しています。
高い循環率は、水を全く足さないことや、汚れが発生しないことを意味しません。水を処理して繰り返し使いながら、必要な補給や排出も行う、という捉え方が大切です。
陸で育てることと、近くで届けること
海の養殖場所だけに頼らない選択肢
海面養殖には、養殖に適した海域が必要です。陸上養殖は、取水や電力などの条件を整えた施設で飼育するため、海の養殖場所だけに頼らず生産する方法になります。
ただし、陸上ならどこでも同じ条件で育てられるわけではありません。プロキシマーも施設立地の利点として、きれいな水や電力へのアクセスを挙げています。水質を整える技術と、それを運用する環境の両方が必要なのです。
首都圏に近い生産地という特徴
丸紅の国内生産と販売開始の発表では、鮮魚販売の場合、最短で水揚げ当日に首都圏へ配送できるとしています。遠くから空輸する方法とは、商品が届くまでの経路が変わります。
これは全ての店に当日入荷するという約束ではありません。また、陸上養殖にも水処理などのエネルギーが必要なので、輸送距離だけで環境負荷の全てを判断することはできません。
売場では何を確認するとよい?
ブランド名・魚種・原産地を見分ける
生産者のサーモンの生産と流通の説明では、丸紅を通じて、百貨店、鮮魚小売チェーン、スーパー、レストランなどへ供給しています。特定の一店舗だけで販売する商品ではありません。
売場では「サーモン」という大きな呼び名だけでなく、魚種、原産地、ブランド名を確認すると、今回の魚を探しやすくなります。在庫や取扱店舗は変わるため、販売店ごとの案内も確認しましょう。
切り身の形や保存状態も商品ごとに確認する
購入時には、生鮮か冷凍か、食べ方の表示、保存方法、期限を商品ごとに確認します。「国産」「陸上養殖」という言葉だけで、全ての製品を同じように扱えると判断しないことが大切です。
まとめ
富士アトランティックサーモンは、陸上の施設で卵から育て、水を処理・循環させる技術によって生産しています。魚の成長と水の管理を一緒に考えるところに、その特徴があります。
食卓に届く一切れの背景を知ると、魚を選ぶ楽しみも広がりますね。店頭で見かけたら産地や商品表示を確かめながら、どんな環境で育った魚なのかにも目を向けてみたいと思います。




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