仁多米は、島根県奥出雲の産地と結び付いたブランド米です。棚田の風景だけでなく、昼夜の寒暖差や水、収穫後の貯蔵にも、おいしさを支える工夫があります。

『VIVANT』シーズン1に関連して、TBSは2024年1月に仁多米を使った赤飯キットを発表しました。この記事では、ドラマとのコラボを入口に、普段のご飯としての仁多米を、産地と貯蔵からまとめます。

仁多米は、品種だけでなく産地を知る名前

「コシヒカリ」と「仁多米」は、示していることが異なる

コシヒカリは米の品種名で、仁多米は奥出雲の産地と結び付いた名前です。奥出雲仁多米株式会社の「出雲國仁多米」も、島根県仁多郡産のコシヒカリとして扱われています。

同じコシヒカリでも、どこで育てられ、どのように保管されたかは商品によって異なります。品種だけでなく、産地や販売者の管理方法も見ると、商品の特徴が分かりやすくなります。

赤飯キットの話と、米の品種の話を分ける

TBSの仁多米を使った赤飯キットの発売告知は、ドラマと産地のつながりを知るきっかけになります。ただし、コラボ商品に使う米と、撮影で実際に使われた米が同じだったかまでは、この告知だけでは分かりません。

また、日常のご飯用のコシヒカリと、赤飯や餅に使う米の種類は、商品ごとの原材料表示で確かめる必要があります。「仁多米」という名前から、すべての商品の原料や用途を同じだと考えないことが大切です。

山あいの棚田で米を育てる環境

標高と昼夜の温度差が、米の実りに関わる

奥出雲仁多米株式会社の産地の環境と低温貯蔵の説明では、仁多郡内の水田は標高300~500メートルにあり、多くが昔ながらの棚田です。

棚田は、斜面に段をつくって設けた水田です。山あいの土地を利用した景観であると同時に、米を育てる生産の場でもあります。

稲が穂に実を蓄える時期を登熟期といいます。同社は、昼間につくられたデンプンが、夜間の高い気温によって消耗することに着目し、昼夜の温度差を産地の特徴として説明しています。

米づくりには、水のある環境も欠かせない

同社がもう一つの特徴に挙げるのが、森林に囲まれた地域の水です。花崗岩から湧く岩清水など、地域の自然環境と米づくりを結び付けています。

ただし、水や標高の一要素だけで、すべての米の味が決まるわけではありません。産地の環境と、栽培・収穫後の管理を合わせて見ることが、仁多米を知る手掛かりになります。

収穫後は、籾のまま低温で保管する

籾・玄米・白米は、加工の段階が違う

収穫した米を理解するうえでは、籾(もみ)・玄米・白米を分けると分かりやすくなります。籾殻を取り除く工程が籾すりで、玄米からぬか層や胚芽を取り除く工程が精米です。

状態主な特徴
籾米が籾殻に包まれた状態
玄米籾殻を取り除き、ぬか層や胚芽が残る状態
白米玄米からぬか層や胚芽を取り除いた状態

低温で保管するといっても、どの段階で保管するかは同じではありません。販売前の貯蔵と、精米した米を家庭で保管することは、分けて考える必要があります。

奥出雲仁多米株式会社は、籾のまま貯蔵する

同社は、収穫した米を籾のまま、年間を通して15℃以下で低温貯蔵しています。ここで説明しているのは同社の管理方法であり、仁多米を扱うすべての販売者が同じ設備・工程を使っているという意味ではありません。

米を選ぶ際は、産年と産地だけでなく、玄米か白米か、精米時期や保存方法も確かめると、買った後の扱いまで考えやすくなります。 名前の印象だけで選ぶより、食卓で使う量や保管場所に合わせることも大切です。

家庭では、精米後の米を涼しく密閉して保管する

農林水産省の白米の保存方法と期間の目安では、低温で湿気と直射日光を避け、冷蔵庫などで保管する方法が示されています。乾燥やにおい移りを防ぐため、清潔な密閉容器などを使いましょう。

精米した米は、時間がたつほど風味が落ちるため、同省は1か月程度を目安にしています。これは賞味期限を一律に保証する数字ではなく、購入量や保存環境を考える際の目安です。

まとめ

仁多米の特徴は、奥出雲の棚田や寒暖差といった環境だけでなく、収穫後の貯蔵まで見ると具体的になります。産地の名前と品種、籾と白米の違いを知ることも、商品を選ぶ手助けになります。

私は、毎日のご飯から、その米を育てた土地や保管の工夫へ思いを広げられるところが面白いと感じました。まずは食べ切れる量を選び、表示と保存方法を確認しながら、産地の味わいを楽しんでみたいですね。