サッカーのPKとPK戦は、同じようにゴールへ向かって蹴りますが、役割が違います。試合中のPKは反則に対するプレーの再開方法で、PK戦は試合後に勝者を決める方法です。

この違いは、GKが弾いたボールをもう一度蹴れるか、いつ勝敗が決まるかにも関わります。この記事では、JFAの2026/27競技規則をもとに、似て見える場面を比較して解説します。

PKはプレーの再開、PK戦は試合結果の決定方法

ペナルティーエリア内の反則でも、すべてがPKではない

ペナルティーキックは、競技者が自分のペナルティーエリア内で、直接フリーキックとなる反則を行った場合などに与えられます。直接フリーキックとは、そのキックから直接相手ゴールへ得点できる再開方法です。

つまり、「ペナルティーエリア内で何か反則があれば、すべてPK」と考えるのは正確ではありません。どこで起きたかと、どの種類の反則かを合わせて見る必要があります。

PK戦は、同点で終わった試合の勝者を決めるために行う

PK戦は、試合が同点で終わり、大会の規定によって勝者を決める必要があるときに使われる方法です。延長戦を行うか、どの段階でPK戦に進むかは、競技会の規定によります。

試合中のPKはプレーを再開するため、PK戦は試合後に勝者を決めるためと分けると、その後のルールの違いも理解できます。PK戦の成功数を、試合中の得点へそのまま足すものではありません。

比較する点試合中のPKPK戦
目的反則に対してプレーを再開する試合後に勝者を決定する
キックの進み方通常はインプレーになり、プレーが続く両チームが交互に結果を記録する
跳ね返りを再び蹴ること誰に触れたかなどの条件で判断するキッカーは意図的にもう一度プレーできない

蹴る前には、GKや他の選手の位置にも決まりがある

GKとキッカー以外は、エリアの外で待つ

試合中のPKでは、ボールをペナルティーマークに静止させ、誰が蹴るかを明確にします。他の選手はペナルティーエリアの外、マークの後方に位置し、マークから少なくとも9.15m離れます。

守るGKは、ボールが蹴られるまでキッカーに面してゴールライン上にいます。蹴られる瞬間には、少なくとも片足の一部をラインに触れさせるか、その上方または後方に位置させる必要があります。

助走ではなく、ボールが動いたときにプレーが始まる

主審の合図後、キッカーはボールを前方へ蹴ります。蹴られて明らかに動いたときに「インプレー」、つまりプレー中の状態になります。

選手の動き出しを見るときは、助走を始めた瞬間と、ボールが動いた瞬間を分けるのがポイントです。侵入の反則は影響などによる条件もあるので、少し早く動いた姿だけで、必ずやり直しだと決め付けないようにしましょう。

GKとポストでは、跳ね返った後の扱いが違う

GKが弾いたボールは、通常のPKなら再び蹴れる

通常の試合中のPKで、反則がなく、GKが弾いたボールがフィールド内へ戻った場合、キッカーはそのボールを再び蹴れます。ボールが、すでに他の競技者であるGKに触れているためです。

一方、ポストやクロスバーから戻り、誰にも触れていないボールを同じキッカーが再び蹴ると、二度触りの反則になります。まず「GKに触れたか」を見ると、似た場面を区別しやすくなります。

PK戦では、GKが弾いても詰め直さない

JFAの現行競技規則の第10条・第14条では、通常のPKの再接触と、PK戦の一回のキックを区別しています。PK戦では、キッカーがボールを意図的に続けて二度プレーすることはできません。

なお、ボールが動いているだけで直ちにキックが終わるわけではありません。PK戦のキックは、ボールが止まる、フィールド外へ出る、反則で主審が止めるなどで完了します。GKに触れた後のボールの動きと、キッカーが蹴り足すことは別の話です。

また、前半・後半などの終了時にPKを完了させるためだけに時間が追加された場合は、通常のプレー継続とは別の扱いがあります。跳ね返りの説明を、こうした場面に一律に当てはめないことも大切です。

PK戦は、必ず5本ずつすべて蹴るわけではない

追い付けなくなれば、途中で決着する

PK戦は、原則として両チームが交互に5本ずつ蹴ります。ただし、残りをすべて成功しても一方が相手に追い付けない場合、それ以上は行いません。

例えば、両チームが3本ずつ蹴った時点で3対0なら、残りは各2本です。0点の側がすべて成功しても2点にしかならないため、その時点で決着します。これはルールを理解するための計算例です。

6本目以降は、両チームが同じ本数を蹴った時点で比べる

5本ずつで同点なら、その後も交互に蹴ります。6本目で先に蹴る側が成功しても、相手の6本目を待たずに勝ちが決まるわけではありません。同じ本数を蹴った時点で、成功数に差がつくまで続きます。

PK戦を見るときは、成功数に加え、両チームが何本蹴り、あと何本残っているかを見ると、決着の条件を追いやすくなります。また、資格のある選手全員が一度蹴る前に、同じ選手が二度目を蹴ることはできません。

「二度触り」でも、偶発的な接触は区別する

蹴った直後、偶然もう片方の足に触れた場合

IFABのペナルティーキックの規則とJFAの現行規則では、偶発的に両足で同時に蹴る場合や、蹴った直後に蹴っていない足・脚へ触れる場合を区別しています。この接触の後、ボールがそのままゴールに入った場合は、キックをやり直します。

入らなかった場合は、試合中のPKなら相手の間接フリーキック、PK戦なら失敗として記録されます。間接フリーキックは、直接蹴り入れるだけでは得点にならず、他の選手への接触を必要とする再開方法です。ここでは、他の反則が重なっていない場合の基本を説明しています。

蹴り直しと、自分で再びボールを蹴ることは別

主審の判断で最初からキックをやり直すことと、インプレー中のボールを自分でもう一度蹴ることは違います。GKや他の選手の反則が重なった場合などは、さらに別の条件を確認する必要があります。

また、テレビの体験企画などで行う「PK対決」には独自の設定がある場合があります。正式な試合のPK・PK戦と、企画上の対決ルールを同じものとして見ないようにしましょう。

まとめ

PKとPK戦は、蹴る姿が似ていても、目的・プレーの続き方・決着の条件が異なります。試合中か試合後か、跳ね返る前に誰へ触れたか、成功数と残り本数はどうかを順に見ると、場面を理解しやすくなります。

私は、一見同じキックでも、その後のボールや本数の意味が変わるところに、ルールを知る面白さを感じます。次にPKを見るときは、キックの成否だけでなく、主審の合図とボールの動きにも注目してみてはいかがでしょうか。