『VIVANT』シーズン1のドラムは、富栄ドラムさんが演じた人物です。そのスマートフォンから流れる声を担当されたのが、声優の林原めぐみさんでした。

画面の中で体を動かす演技と、言葉を届ける声の演技。その二つを分けて見ると、ドラムというキャラクターのつくられ方が見えてきます。この記事では、2023年に放送されたシーズン1の公開情報をもとに、林原さんの仕事に焦点を当てます。

林原めぐみさんが担当したのは翻訳アプリの音声

富栄ドラムさんの演技と声の担当を分けて知る

ドラムは、日本語を話さず、スマートフォンの翻訳アプリを通じて周囲とやり取りする登場人物です。シーズン1の出演者・スタッフ情報でも、富栄ドラムさんの出演と、林原めぐみさんの声の出演が確認できます。

林原さんはドラム本人を画面で演じたのではなく、ドラムの言葉を周囲へ伝える音声を担われました。声が聞こえる仕組みが物語の中にあるため、画面に映る人物と声の主が異なっていても、役柄の一部として受け止めやすい構成です。

現実の翻訳サービスの仕様とは分けて考える

ここでいう翻訳アプリは、作品内でコミュニケーションを成立させるための設定です。この出演情報だけで、実在する特定のサービスに林原さんの声が搭載されているとはいえません。

また、翻訳アプリという設定と、音声が人の収録でつくられていることは別の話です。林原さん自身も、公式ブログで収録について書かれています。機械から流れる声として聞こえていても、その表現には演者の仕事があります。

女性の声という構想から林原さんの起用へ

制作側が語った声の選び方

2023年9月16日に公表された飯田和孝プロデューサーのコメントによると、ドラムの声を女性の声にする方針は、当初から決まっていました。声の雰囲気を検討する中で、多様な役を演じてきた林原さんに依頼したといいます。

これは、誰に声をお願いするかという判断が、人物造形とつながっていた例といえそうです。ただ言葉の意味が伝わればよいのではなく、その声を通じて登場人物をどう感じてもらうかも、制作上の選択になります。

本人の発信から分かる収録の仕事

林原さんは、最終回を前に収録を振り返った公式ブログで、富栄さんとスタジオで会ったことや、自身の収録を終えたことに触れられています。画面に出る俳優と音声を担う声優が、別々の仕事を通して一人の役に関わっていたことが分かります。

ただし、この発信だけでは、全場面をどのような順番で録音したのか、毎回映像を見ながら収録したのかまでは確認できませんでした。細かな作業工程を想像で補わず、公表された関わり方を押さえておきたいところです。

表情と声の役割を分けて見る楽しさ

体の演技は「言葉以外」の情報を伝える

一般に、映像の演技では、表情、視線、姿勢、動きなども感情を伝えます。声の言葉を追うだけでなく、話を聞くときにどこを見ているか、伝える前後で表情がどう変わるかに注目すると、画面の受け取り方も変わりそうです。

これは作品の見方としての提案であり、個々の動作にどんな演出意図があったかを断定するものではありません。

声の演技は言葉に調子や時間を与える

声には、速さ、高低、語尾、間など、文字だけでは伝わらない要素があります。同じ短い言葉でも、急いで伝えるのか、ゆっくり伝えるのかで、聞き手の印象は変わります。

ドラムを見るときは、「何を言ったか」に加えて、「どんな表情と声で届いたか」に注目するのも一つの楽しみ方です。富栄さんの身体表現と林原さんの音声を、それぞれの仕事として意識すると、キャラクターを支える表現の層が見えてきそうです。

まとめ

シーズン1のドラムは、富栄ドラムさんが画面で演じ、林原めぐみさんが翻訳アプリの音声を担われたキャラクターです。本人の収録に関する発信からも、声が演者の仕事として加わっていたことが確認できます。

私は、声だけを追ったあとに表情や動きへ目を向けると、一人の登場人物を支える仕事の豊かさを感じられると思います。作品を見返す際は、言葉と動きが組み合わさる瞬間にも注目してみたいですね。