大相撲の呼出は、力士の名前を呼び上げるだけの仕事ではありません。太鼓を打ち、取組を行う土俵をつくり、土俵の周囲でも進行を支えます。声・音・競技の場を整える仕事を合わせて見ると、相撲の舞台を支える役割が分かります。

ABEMAでは、2026年11月8日(日)から十一月場所の全取組を生中継する予定です。取組そのものに加え、その前後に働く人たちにも目を向けてみましょう。

呼出の仕事は、声・太鼓・土俵の三つから考える

「呼出」は、よびだしと読む

日本相撲協会の呼出の三大業務の説明では、「呼び上げ」「太鼓」「土俵築」が挙げられています。「土俵築」は「どひょうつき」と読み、土俵をつくる仕事を指します。

観客の前で名前を呼ぶ姿は印象に残りやすいものですが、その仕事は取組の前だけに限りません。観戦で見える役割と、開催に向けて準備する役割の両方があります。

仕事主な役割見方の手がかり
呼び上げ取組を行う力士の名前を伝える声と、次の取組へ移る流れ
太鼓相撲の興行に関わる音の仕事を担う場を知らせる音の役割
土俵築土を固め、俵を設けて競技の場を整える力士が踏む場所を支える手仕事

表に見える姿から、準備の仕事へ

呼出は、取組を声でつなぐだけでなく、相撲を行う場所そのものも支える仕事です。三つの役割を知っておくと、土俵の上の姿と、開催前の手仕事がつながって見えてきます。

ただし、土俵づくりや太鼓の様子が、どの中継でも必ず映るとは限りません。見える場面から仕事を知り、準備の工程は公式の記録などで補うと、理解を広げられます。

呼び上げと太鼓は、相撲の場を声と音で支える

力士の名前を、取組の前に呼ぶ

呼び上げでは、東西の力士の四股名を観客へ伝えます。四股名は、力士が相撲で用いる名前です。白い扇子を持って呼び上げる姿は、取組へ向けて場が動き始める目印にもなります。

呼出の克之さんは、自身の仕事を記した文章で、呼び上げに加え、土俵の進行に気を配ることも説明しています。名前の響きだけでなく、次の取組へつながる一連の動きにも注目したいところです。

太鼓も、同じ仕事の一部

太鼓は、呼び上げとは異なる音の役割です。相撲協会が三大業務の一つに挙げているように、呼出は声を出す仕事だけでなく、太鼓を担う人でもあります。

例えば、公式ファンクラブによる2024年七月場所の土俵祭の記録では、呼出の太鼓が土俵の下を回り、その後、街へ触れに出ています。太鼓には、取組中の場面だけでなく、開催を知らせる役割もあると分かります。これは当時の記録で、どの中継でも同じ場面が映るという意味ではありません。

土俵築は、土と俵で競技の場をつくる仕事

踏み固める工程と、俵をつくる工程

日本相撲協会の公式ファンクラブによる土俵築の見学レポートには、呼出が土を踏み固め、俵をつくり、設置していく様子が記録されています。これは2022年の見学イベントの記録で、現在の見学募集ではありません。

土俵は、円が描かれた平らな床というだけではありません。土を固める仕事や、俵を整える仕事によって、取組を行う場が形になります。完成後には見えにくい工程にも、人の手が加わっています。

毎場所、土台のすべてを壊すわけではない

克之さんの土俵づくりについての本人署名記事では、国技館の土俵の土台と、本場所前に造り直す表面・側面を分けて説明しています。「造り直す」といっても、土台まで毎回すべて取り壊すという意味ではありません。

残して使う土台と、整え直す部分を分けると、土俵づくりの仕事が具体的に分かります。会場や土俵によって条件は異なるので、国技館の例を、すべての場所や稽古場に一律に当てはめないようにしましょう。

取組の前後にも、進行を支える仕事がある

力水やタオル、懸賞旗にも関わる

克之さんは、力士が力水を付けたり、タオルで汗を拭いたりする際の補助を「水付け」と説明しています。また、取組にかけられた懸賞の旗を持って土俵を回ることも、仕事の一つです。

呼び上げの場面だけを切り取ると、こうした役割は見えにくくなります。取組が始まるまで、そして次の取組へ移るまでを見ると、土俵の周囲に仕事が続いていることが分かります。

行司とは、別の役割として見る

呼出と行司は、同じ土俵の近くで働いていても、同じ仕事ではありません。公式ファンクラブの見学記録では、呼出による土俵築に対し、行司が板番付や翌日の取組を記した「顔ぶれ」を書く仕事も紹介されています。

土俵の上で勝負を進める姿だけでなく、文字を書く仕事もある行司と、声・太鼓・土俵づくりを担う呼出。何を受け持つ人なのかを分けると、それぞれの仕事が見えてきます。

まとめ

呼出の仕事は、呼び上げ・太鼓・土俵築を柱に、土俵の周囲の補助まで広がっています。取組が行われる場には、力士の技に加えて、準備と進行を担う人の手仕事があります。

私は、力士の名前を呼ぶ声から、土俵の準備までが一つの仕事につながっているところに魅力を感じます。次に相撲を見るときは、取組の前後にも少し目を向け、いつもとは違う舞台の見方を楽しんでみてはいかがでしょうか。